「野の医者は笑う」を読む
東畑開人「野の医者は笑う」を読んだ。
臨床心理士である東畑さんが、沖縄の怪しいヒーラーの世界に入り込み、実際に治療を受けて回りながら「心が癒されるとはどういうことか」について考えていくノンフィクション。
とても面白かった。
いくつか感想を持ったので、メモとして残しておく。
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●臨床心理学に興味を持った。
「心」を学問の研究対象として捉え、メソッドや考え方を体系的に整理する。
もちろん臨床心理学がすべてではないし、おそらく受け入れられない部分もあるだろうけど、
参考として学ぶことに意味はあるように感じた。
●ネタバレになってしまうが、
「『癒された』という状態には様々な解釈があり、『癒し方』によってその定義が違う。」
という考え方。これにとても納得感が持てた。
臨床心理学、コーチング、スピリチュアル、、、様々な「癒し方」があり、それぞれの定義が違うために作者は混乱していたが、
結局、「癒しは1種類ではなく、色んな定義がある」という結論に至る。
絶対的なものはなく、全部one of themに過ぎない。
だから、今の自分により自信を持てた。
私はこのまま地で進んでいく!
でも、じゃあ私にとっての「癒し」とは何なのか?
●「治癒とはある生き方のことなのだ。心の治療は生き方を与える。そしてその生き方はひとつではない。」
この言葉もとてもしっくりきた。
治療とはある生き方を与えること。つまり考え方を与えること。でもその考え方に絶対はない。
このことを認識していない場合に、別の治療法を否定してしまうのだろう。
認識したらいいのに。そうしたら、「この人にはどんな “癒し” が合うのだろうか」という議論になっていくのにな。
一方で、私も、私が考える「よい」生き方だけが「よい」生き方ではないということを肝に銘じなければならないと思った。
1枚のカードしか持たず、さらにそれを常に切り続ける(「切らない」という選択をしない)時、私は相手を傷つけることになるだろう。
逆に、もし、私が複数の生き方を知っていて、それを相手の求めている者に応じて変えられるなら、対話の幅がぐっと広がるのではないか?
そうなりたい。でもそれには、別の生き方を深く知り、導く方法を知っている必要がある。
●では、私にとっての「癒し」とは何なのか?「生き方」とは何なのか?
「自分の本当の感情を受け入れること」
私はこうやって自分で自分を癒してきた。
だから、自分以外の人にも同じ方法で癒されてほしいと願うんだろう。
というかそれしかできないのだ。
他の方法を私が実行したら、絶対に違和感を抱くだろう。
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総じて、私にとってとても意味のある本だった。
読んでよかった。
この本を読んで受けた影響が、今後じわじわと出てきそうな気がする。